居宅介護・重度訪問介護

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居宅介護事業で障害者の自宅を訪問するヘルパー
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訪問系サービス(居宅介護・重度訪問介護)の指定を取るには

「障害福祉の居宅介護」と「介護福祉の訪問介護」について

利用者の居宅へ訪問して行う、いわゆる”訪問系”の障害福祉サービスには、主に「居宅介護」「重度訪問介護」「同行援護」「行動援護」「移動支援」があります。

とりわけ、「居宅介護」「重度訪問介護」とよく似た訪問系サービスには、「介護保険法」に規定される介護事業の一つである「訪問介護」サービスがあります。

そして、「介護保険」制度の中で、「障害福祉サービス」に相当するサービスがある場合には、原則として、「介護福祉サービス」に係る「保険給付」の方を優先して受ける、というルールがあります。

ただし、サービス内容や機能から、「介護福祉サービス」には、それ相当するものがない、障害福祉サービス”独自のもの”と認められるサービス(例えば、「同行援護」「行動援護」「自立訓練(生活訓練)」「就労移行支援」「就労継続支援」など)については、「障害福祉サービス」が利用出来る、という”関係性”になっております。

例えば、年齢が65歳以降の訪問系サービスの利用者については、「障害福祉サービス」ではなく、「介護保険」の制度を利用することが原則となります。「介護保険」には、「居宅介護」に相応する「訪問介護」サービスがあるため、そちらを利用することとなります。

ちなみに、 「生活保護法」「介護扶助」による介護サービスと「障害福祉サービス」との関係については、「介護保険」の被保険者である場合は、原則として、「介護保険」の給付及び「介護扶助」が、「障害福祉サービス」に優先する関係となっています。

<居宅介護>

「居宅介護」は、”訪問系”サービスの中で、最も良く利用されているサービスで、「重度訪問介護」とは異なり、障害者・障害児ともに利用が可能となっています。

「居宅介護」とは、日常生活を営む上で支障のある障害者等を対象に、安心して自宅で生活を送ることができるように提供される、生活の基本を支えるサービスです。

ホームヘルパーが、自宅を訪問して、入浴、排せつ、及び食事等の介護、調理、洗濯、及び掃除等の家事、並びに生活等に関する相談・助言、その他の生活全般にわたる援助を行います。

なお、入院・入所した場合には、利用することはできません。

■「居宅介護」サービスは、以下の4つに分類されています。

身体介護

■食事介助、衣類の着脱、入浴介助、排せつの介助、体の清拭など、身体的な介護を行います。

家事援助

■炊事・洗濯・掃除・買い物などの日常生活上の援助を行います。

・「家事援助」は、あくまでも、利用者本人のための支援となりますので、家族の食事を作ったり、共有スペースの掃除等、”家族のための”サービス提供を行うことはできません。

「居宅介護」「重度訪問介護」は、介護保険法の「訪問介護」よりも、サービス提供の範囲が”広く”解釈されています。

例えば、エアコンフィルターの掃除について、利用者の障害の状況や、家族等による対応が困難であるといった、世帯の状況によっては、「その他の生活全般にわたる援助」
として、「家事援助」の内容に該当する場合があります。

利用できないサービスの内容の例

① 商品の販売・農作業など生業の援助的な行為

② 家族の利便に供する行為又は家族が行うことが適当であると判断される行為

③ ヘルパーが行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為

④ 日常的に行われる家事の範囲を超える行為

⑤ 外出時の介助(ただし,通院等介助は除く。)

⑥ その他(留守番,利用者本人の不在時の家事援助 など)

通院等介助(身体介護を伴う・伴わない)

病院等への受診、官公署等へ公的手続き、指定特定相談支援事業所などへの相談に訪れるために外出する際の、移動等の介助,窓口での手続きの補助 などを行います。

「身体介護を伴う」、「伴わない」の判断については、障害支援区分の認定調査項目により、「身体介護を伴わない」と判断された場合であっても、介助内容に違いはありません。

「通院等介助」は、原則として、自宅と病院等の間の「通院」を算定することとなりますが、通院”後”に買い物等をするといった場合には、行きを「通院等介助」、帰りを「移動支援」として、片道算定することができます。

通院等乗降介助(介護タクシー)

通院などのために、ヘルパー等が運転する車両への乗車または降車の介助と”併せて”行う、乗車”前後”の屋内外に於ける移動等の介助、通院先での受診等の手続き、移動等の介助などを行います。

「通院等介助(身体介護を伴う場合)」と「通院等乗降介助」を同時に利用することはできません。なお、サービス提供は、「時間数」ではなく、「片道 1 」回として算定することとなります。

「通院等乗降介助」を算定する場合には、ヘルパーが「自らの運転する車両への乗車又は降車の介助」に”加えて”「乗車前若しくは降車後の、屋内外における移動等の介助」を行うか、又は「通院先での受診等の手続き、移動等の介助」を行う場合に限って算定の対象となり、これらの「移動等の介助」又は「受診等の手続き」を行わない場合には算定対象とはなりません。

・このサービスを行うには、障害福祉サービス事業の指定を受けるだけでなく、別途で、「介護タクシー」(「一般乗用旅客自動車運送事業・福祉輸送限定」)の許認可が必要となります。

<重度訪問介護>

「重度訪問介護」とは、重度の肢体不自由者又は重度の知的障害、若しくは精神障害により、行動上著しい困難を有する、常時の介護を要する障害者に対して、居宅において、身体介護、家事援助、生活等の相談・助言、その他の生活全般にわたる援助等を行うとともに、外出時における移動中の介護等を総合的に行います。

なお、「居宅介護」との”併用”はできません。また、「重度訪問介護」の支給決定者は、原則、「移動支援」の対象とはなりません。

<対象者>

居宅介護

■身体障害、知的障害、精神障害、障害児

■障害支援区分が「1」以上(障害児の場合は、これに相当する心身の状態)

ただし、「通院等介助(身体介護を伴う場合)」を利用する場合には、次の”いずれにも”該当する必要があります。

■障害支援区分が「2」以上

■障害支援区分の「認定調査項目」のうち、次に掲げる状態の”いずれか一つ以上”が、認定されている(「できる」以外に該当する)

① 歩行:「全面的な支援が必要」

② 移乗:「見守り等の支援が必要」、「部分的な支援が必要」または「全面的な支援が必要」

③ 移動:「見守り等の支援が必要」、「部分的な支援が必要」または「全面的な支援が必要」

④ 排尿:「部分的な支援が必要」または「全面的な支援が必要」

⑤ 排便:「部分的な支援が必要」または「全面的な支援が必要」

<重度訪問介護>

■障害支援区分が「4」以上であって、次の「1」.か「2」.の”いずれかに”該当する方

「1」.次の2項目の”いずれにも”該当している、重度肢体不自由者

① 二肢以上に麻痺等があること(おおむね肢体不自由1・2級)

② 障害支援区分の認定調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」の”いずれも”「支援が不要」”以外”と認定されていること

「2」.知的障害又は精神障害により、行動上著しい困難を有する者であって、障害支援区分の認定調査項目のうち、「行動関連項目等(12項目)※」の合計点数が、「10点」以上である方

「行動関連項目等」:以下の項目について、それぞれの程度に応じて、「0」・「1」・「2」の3段階で、点数化を行います。

コミュニケーション、説明の理解、大声・奇声を出す、異食行動、多動・行動停止、不安定な行動、自らを傷つける行為、他人を傷つける行為、不適切な行為、突発的な行動、過食・反すう等、てんかん発作の頻度(医師意見書による)

<指定を受けるための要件>

「重度訪問介護」については、「居宅介護」事業の指定要件を満たしていれば、「重度訪問介護」に係る人員、設備等を満たしていると”みなされ”ます。(「みなし指定」)

■ 既に、「介護保険法」に基づく「訪問介護」事業の指定を受けている事業所についても、新たに、「居宅介護」・「重度訪問介護」の指定を受けるために、別途で「人員基準」を満たしていく必要はなく、原則、現状の人員体制で、指定を受けることができます。

【要件1】申請者が法人格を有すること

個人では、指定を受けることはできません。

申請するに当たっては、あらかじめ、株式会社、合同会社、社会福祉法人、NPO法人等の「法人格」を有している必要があります。

なお、既に「法人格」のある場合でも、「定款の事業目的欄」に於いて、該当する障害福祉事業に係る内容の記載がない場合は、事前に、「定款の事業目的」変更の手続きを経た後に、申請することとなります。

【要件2】人員基準を満たすこと

・事業所には、以下の人員が必要となります。

<管理者>

■資格要件:なし

■常勤専従:1名

■「サービス提供責任者」及び「従業者」との兼務:可

■他の訪問介護事業所等の「管理者」との兼務:可


<サービス提供責任者>

サービス提供責任者になるための要件

 【引用元:奈良県、以下は注釈】

・上記表の○は、その資格のみで要件を満たすことを指す。

・上記表の△は、以下の要件も必要であることを指す。

※1. 実務経験 3 年かつ 540 日以上必要(注)。

ただし、令和 3 年 4 月以降、居宅介護において、当該者がサービス提供責任者として作成した居宅介護計画に基づき支援を行った場合、報酬の30%が減算されます。

※2.上記表の「同行援護」の△の資格要件に該当する者であって、同行援護従業者養成研修(一般課程及び応用課程。相当すると奈良県知事が認めるものを含む。)を修了した者。

※3.「行動援護」は、行動援護従業者養成研修(相当すると奈良県知事が認めるものを含む)修了者で、知的障害者(児)又は精神障害者の直接支援に3年以上従事した経験がある者。

※4.「行動援護」は、令和 6 年 3 月 31 日までの間に限り、居宅介護に係るサービス提供責任者の資格要件に加え、知的障害者(児)又は精神障害者の直接支援に5年以上従事した経験がある者でも可。

(注)

・「1年以上の実務経験」とは、業務に従事した期間が 1年以上であり、かつ、業務に従事した日数が1年あたり180日以上であることをいうものとする。

(例)3年以上の実務経験:従事期間3年以上、かつ従事日数540日以上要

・実務経験として認められる業務については、「指定施設における業務の範囲等及び介護福祉士試験の受験資格の認定に係る介護等の業務の範囲等について」(=「業務の範囲通知」)に記載のあるものに限られる。

・実務経験の要件が達成された時点と研修修了時点との時間的な前後関係は問わない。

・介護等の業務に従事した期間には、ボランティアとして介護等を経験した期間は原則として含まれない。

■以下の資格・研修要件を満たす必要があります。
※種類によっては、「報酬減算」措置の場合あり。

・介護福祉士

・看護師及び准看護師

・介護職員実務者研修

・介護職員基礎研修

・訪問介護員養成研修1級

・居宅介護従業者養成研修1級

・訪問介護員養成研修2級+3年以上の実務経験

・居宅介護従業者養成研修2級+3年以上の実務経験

・居宅介護職員初任者研修+3年以上の実務経験

・介護職員初任者研修+3年以上の実務経験

■以下の人員基準配置を行う必要があります。
 1.居宅介護・同行援護・行動援護の場合

・当該事業所の月間延べサービス提供時間(居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護、訪問介護の合計)が、450時間又はその端数を増すごとに、1名以上配置

・当該事業所の従業者の数が、10人又はその端数を増すごとに、1名以上配置

・当該事業所の利用者の数が、40人又はその端数を増すごとに、1名以上配置

・一定の配置条件等を満たしている場合は、利用者の数が50人又はその端数を増すごとに、1名以上とすることが可能(一定の配置条件等については、割愛)

 2.重度訪問介護の場合

以下のいづれかの要件を満たす必要があります。

・当該事業所の月間延べサービス提供時間(居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護、訪問介護の合計)が、1,000時間又はその端数を増すごとに、1名以上配置

・当該事業所の従業者の数が、20人又はその端数を増すごとに、1名以上配置

・当該事業所の利用者の数が、10人又はその端数を増すごとに、1名以上配置

※ ただし、「重度訪問介護事業所」が、「居宅介護」、「同行援護」、「行動援護」、「訪問介護」及び「移動支援」の事業を”併せて”行う場合には、次のいずれかの方法により、「サービス提供責任者の配置基準」を算出することになります。

① 上記1.の基準のいずれかに該当する員数

② 上記1.の基準(重度訪問介護分を除いた数値により算出)のいずれかに該当する員数と上記2.のいずれかに該当する員数の合計数

※ なお、従業者の実員数による基準を用いる場合、「重度訪問介護」と「居宅介護」等の双方に従事する従業者については、上記1.の基準を適用します。


<従業者>

居宅介護の従業者の資格要件

 【引用元:大阪府、以下は注釈】

※1.平成 18 年 9 月 30 日において、(視覚・全身性・知的)障害者外出介護従業者養成研修修了者

※2.平成 18 年 3 月 31 日において、(身体・知的障害者又は児童)居宅介護等事業に従事した経験を有する者であって、都道府県知事から必要な知識及び技術を有すると認める旨の証明書の交付を受けたもの

※3.重度訪問介護従事者養成研修修了者であって、身体障がい者の直接支援業務の従事経験を有する者

(所要時間3時間未満の場合は、重度訪問介護サービス費の所定単位数、所要時間3時間以上の場合は、635単位に所要時間3時間から計算して、所要時間30分を増すごとに、86単位を加算した単位数)

【指定重度訪問介護事業者にみなされる取扱いについて】

・指定基準 43 条により、指定居宅介護事業者は、重度訪問介護の指定申請を行わなくても、指定重度訪問介護事業者としてみなされます。

ただし、人員がいないなどの理由で、重度訪問介護の指定を不要とする申し出を行うことも可能ですので、担当者にご相談ください。

なお、重度訪問介護事業者にみなされる取扱いは指定事業者のみであり、基準該当居宅介護従業者は、基準該当重度訪問介護事業者にみなされることはありません。

「基準該当事業所」について

指定事業所に準ずるものとして、一部のサービスについては、「基準該当事業所」として認められる場合があります。

「基準該当事業所」とは、指定障害福祉サービス事業所としての指定を受けるべき要件(人員、設備及び運営に関する基準)のうち、一部を満たしていない事業者で、一定の基準を満たすサービス提供を行うものについて、特例介護給付費又は特例訓練等給付費の支給の対象とすることにより、多様な事業者の参入を可能とし、地域においてきめ細かなサービス提供を可能とするものです。

■以下の資格・研修要件を満たす必要があります。
(※種類によっては、報酬減算措置の場合あり。)

・介護福祉士

・介護職員実務者研修

・居宅介護職員初任者研修

・居宅介護従業者養成研修1級、2級

・介護職員初任者研修

・介護職員基礎研修

・訪問介護員養成研修1級、2級

・障害者居宅介護従業者基礎研修

・居宅介護従業者養成研修3級

・訪問介護員養成研修3級

・重度訪問介護従業者養成研修(重度訪問介護)

■以下の人員基準配置を行う必要があります。

常勤換算方法で2.5名以上 (※兼務の「サービス提供責任者」も含めて常勤換算可)


【要件3】 設備基準を満たすこと

※申請時には、建物部屋、設備・備品等の撮影写真を役所へ提出する必要があります。

※指定権者によって、ローカルルールが大きいので、都度確認する必要があります。

■以下の設備・構造基準を満たす必要があります。

1.事業の運営を行うために必要な広さを有する専用区画

(1)事務室(職員、設備備品が収容できる広さを確保すること)

(2)相談室(遮蔽物の設置等により相談内容が漏れないよう配慮する)

・事務室と相談室が完全に区画されている、若しくはパテーション等で仕切られていて、従業員と訪問して来た利用者等とが直接顔を合わせることのない導線を確保する必要がある。

・入り口から相談室までの導線上に従業員と顔を合わせることがないよう配慮する必要がある

2.設備及び器材

(1)居宅介護・重度訪問介護のサービス提供に必要な設備及び備品

(2)手指洗浄、感染症予防のための設備及び備品

・設備及び備品 訪問介護に必要な設備及び備品を備える。

・電話、FAX、ネット、鍵付きの棚等の事務機器

・鍵付きの棚は写真でチェックされますから絶対必要

・特に感染症予防に必要な設備に配慮する必要がある。(手指消毒アルコール等)

その他の「障害福祉サービス」事業については、以下のページでご覧下さい。

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