酒類小売業免許

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酒類小売業免許を取って営業するお酒屋さん
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店舗や通販で、お酒の小売販売ビジネスを始めようと思ったら、お役所からの「免許」が必要になります。

酒税法上、酒類の販売とは

まず、「酒類」とは、酒税法第2条で、アルコール度数1度以上の飲料とされており、 酒税法上、4種類・17品目に分類されています。

そして、この酒類を「販売する」とは、缶や瓶に付いた栓を”開けずに”、顧客へ販売することを指します。

継続的に、”未”開栓のボトルや樽を、”そのまま”売るには、「酒類販売業」の免許が必要となってきます。

酒類販売業の免許について

「酒類販売業免許」とは、酒類を継続的に販売することが認められる免許のことを言います。

しかも、「営利」を目的としているかどうか?や、「特定」または「不特定」の者に対して販売するかどうか?は問われません。

さらには、本ページの最下段の”イメージ図”をご覧頂くと、お分かりかと思いますが、一口に、「酒類販売業免許」と言っても、実のところ、その内容によって「区分」がなされていて、さらに、いくつかの「種類」に細分されている、という体系となっています。

そこでまず、大まかな区分として、「酒類販売業免許」は、以下の2つに区分されています。

これらの違いは主に、どこへ向けて販売を行うのか?が区分の分かれ目となっています。

酒類小売業免許

一般の「消費者」や、街の「飲食店」に向けて、お酒を販売するには、「酒類”小売業”免許」の取得が必要となります。

酒類卸売業免許

一方、酒店やコンビニエンスストア、スーパーマーケットなど、「酒類販売業の免許を受けた事業者」への販売を行うには、取得のハードルが、より高くなる「酒類”卸売業”免許」が必要となってきます。

免許の申請先

両者どちらも、申請する先は、税務署となります。

具体的には、本店・本社所轄の税務署ではなく、「販売場」(お酒の販売店舗や、代金の受け払いを行う事務所)の所在地を管轄する税務署となります。

ただ、免許に関する、実質的な審査や指導が行われるのは、「酒類指導官」が設置されている税務署になりますので、申請前の「事前相談」を行う際には、この「酒類指導官」へ相談を持ち掛ける方が、その後の審査をよりスムーズに進められるでしょう。

免許が交付されるまでにかかる日数

申請書類一式が、管轄税務署で無事に受理されてから、途中で補正等がなければ、おおよそ2か月程度で、「酒類販売業免許通知書」が交付されることとなります。

この他、通常の場合ですと、税務署へ申請するに至るまでの、事前相談、書類収集・作成などの準備期間で、1ヶ月前後は要することとなりますので、当事務所への、正式なご依頼を受けてから、免許を取得して、営業が開始できるまで、トータルでは、おおよそ3か月程度、お時間を頂戴するイメージとなります。

酒税法違反について

「リサイクルショップ」で、酒類を販売する場合はもちろんのこと、たとえ、少量のお酒を「ネットオークション」へ出品して販売する場合であっても、それを”業として”行うケースなど、一定の場合には、酒類販売業の免許が必要となってきます。

もし、これを知らずに、「無免許」で販売を行っていれば、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)の適用も設けられていますので、酒類の販売については、注意が必要です。

この他にも、「飲食店(居酒屋)」と「酒類販売業」を”同じ場所”で営業することは、原則として、認められおらず、無断で行えば、酒税法に抵触してしまう可能性もあります。

ただし、例外的に、物理的に明確にスペースを区切る措置を施すなど、一定の場合には、認められるケースもありますので、このような場合にこそ、申請前の、税務署への事前の相談、事前の擦り合わせがより重要となってきます。

免許の要件について

「酒類販売業免許」を取得するには、いくつかの「要件」をクリアする必要があります。

ただし、それぞれの免許の「区分」・「種類」ごとに、沢山の細かなルールが定められていますので、自身が取得しようとする免許の区分・種類に従って、それを1つ1つ確認して、クリアしていく必要があります。

一般的に、大きく分けると、以下の4つに分類されます。

●人的要件(酒税法第10条1号から8号)

●場所的要件(酒税法第10条9号)

●経営基礎要件(酒税法第10条10号)

●需給調整要件(酒税法第10条11号)

酒類販売業免許の「区分」

先ほど述べたように、「酒類販売業免許」には、その販売形態に応じて、「酒類小売業免許」と「酒類卸売業免許」の2つに大別されます。

尚、「酒類販売業免許」の他にも、「酒類販売代理業免許」「酒類販売媒介業免許」といったものもありますが、詳細は割愛致します。

以下、ここからは、「酒類小売業免許」を中心として、見ていくこととします。

繰り返しますが、「酒類小売業免許」は、一般消費者や飲食店等を対象とする販売の免許になります。

酒類小売業免許の「種類」

「酒類小売業免許」といっても、さらに、以下の2つの「種類」に分かれます。

ただし、実のところ、以下の2つの種類以外にも、「酒類小売業免許」に関する種類はありますが、ここでの詳細は、割愛します。

名称だけを挙げておくと、「特殊酒類小売業免許」「期限付酒類小売業免許」の2つの免許となります。これらについては、別途、ご相談下さいませ。

一般酒類小売業免許

街でよく見かける、コンビニエンスストアや酒屋など、店頭でお酒が陳列・販売される「販売場」や、同じ都道府県内の、特定の飲食店へ配達・納品する場合において、必要となる免許です。

店頭販売のほか、配達専門であっても、免許は受けられますし、同じ都道府県内であれば、「通信販売」を行うことも可能であり、自力配達に限らず、宅配便等を使っての販売も可能です。

この免許では、あらゆる品目の酒類の小売販売が出来るので、大手酒造メーカーの「ビール」だけでなく、「輸入酒」や「地ビール」なども取り扱うことができます。

ただし、その「販売場」ごとに、免許の申請が必要となります。

通信販売酒類小売業免許

2都道府県以上の、広範な地域の消費者等を対象として、ネットショッピングやカタログ、オークションサイト等を使って、酒類を小売販売する場合の免許となります。

間違いやすい点として、こちらの免許は、「2都道府県以上の、広範な地域」を対象としています。

つまりは、「1つの都道府県内」で「通信販売」を行う場合には、「通信販売小売業免許」ではなくて、「一般酒類小売業免許」で問題ありません。

結局のところ、1つの都道府県”のみ”を対象としているのか?、それとも、2都道府県”以上”にまたがった販売を行うのか?を明確にした上で、希望に即した免許を取得するようにしましょう。

くれぐれも、「通信販売」酒類小売業の免許”だけ”で、「店頭」において、酒類の売り買い、引渡しができないことに注意を払う必要があります。この場合は、やはり、「一般」酒類小売業の免許が必要になります。

通信販売酒類小売業免許のメリット・デメリット

この「通信販売酒類小売業免許」は、昨今、非常に高いニーズがあり、免許申請数も、増加傾向にあるようです。

やはり、「販売場」を構えることなく、営業が可能であることや、販売ターゲットを「全国」にできる、といった”メリット”は小さくありません。

しかしながら、「通信販売酒類小売業免許」は、”メリット”だけではなく、”デメリット”もあるので、注意が必要です。

それは、取り扱うことの出来る「酒類の種類」について、限定されている点があります。

例えば、大手の酒造会社、ビール会社の商品は、取り扱うことが出来ません。

一般の酒販店では、通常購入することが難しいような、少量のお酒、(例えば、地方の小さな蔵元が製造するレアな地酒や地ビール)や、外国産輸入酒(※販売制限なし)に限って取り扱うことが出来ます。

また、酒税法により、以下の通り、一定数量”未満”で、課税移出(≒製造)された酒類とされています。

酒造・製造量の区分 一般酒類小売業免許 通信販売酒類小売業免許
年間製造量3,000KL
以上の国内酒造
販売OK 販売NG
年間製造量3,000KL
未満の国内酒造
販売OK 販売OK
外国産輸入酒類 販売OK 販売OK

 上記2つの免許を両方取得するには

上記2つの免許(「一般」と「通信販売」)を”同時に”申請することについて、申請自体は、”異なる種類”の免許の、同時申請として、認められてはおります。

しかしながら、”同時”に申請する場合には、「施設」及び「設備」、「資金」といった免許の要件を、”それぞれで”、満たてしておく必要がある点に、注意が必要です。

例えば、現段階では、「店頭販売(小売)」”のみ”の「施設」や「設備」”しか”、準備は出来ていないけれども、将来的な展望・希望的な観測をもって、「通信販売」の免許も、『”ついでに”、”とりあえず”、申請しておこうか…。』と、ご検討される依頼者様も、一定数いらっしゃるかと思われます。

しかしながら、こうしたケースにつきましては、現段階に於いて、「通信販売」に関する「施設」や「設備」の「要件」も満たした上で、さらに加えて、合理性のあるロジックに基づく、具体的な「事業・損益計画」を整えていない限りは、税務署窓口の担当官から、厳しい指摘を受けるなど、十中八九、免許申請の受理には至らない、ことが想像されます。

酒類卸売業免許について

「酒類卸売業免許」もまた、さらにいくつかの種類に分類されています。

たとえば、「全種類卸売業免許」「ビール卸売業免許」「洋酒卸売業免許」といった種類がありますが、ここでの詳細は、割愛致します。

さて、前述の通り、「酒類卸売業免許」とは、酒類販売業免許を受けた業者へ、卸売り販売するための免許となります。

イメージとしては、「酒類卸売業免許」が必要となる卸業者とは、主として、酒造メーカーから酒類を仕入れて、地域の「酒類販売業者」(酒販店)に対して、卸売販売をする、”中間業者”のことと、想像して頂ければと思います。

酒類販売業者(酒販店)について

先に述べた、「酒類販売業者」(酒販店)とは、街の酒屋さん、コンビニ、スーパー、ディスカウントストアや通販ショップなどが、これにあたります。

一般的には、以下のように、大きく2つに大別することが出来ます。

「酒販店」ではできない販売

以下、いずれの酒販店も、「酒類小売業」の免許が必要となります。

「家庭用」酒販店

個人の一般消費者を主な販売先とする酒販店

「業務用」酒販店

飲食店やホテル、旅館などを販売先とする酒販店

ポイント

「酒販店」(酒類小売業免許事業者)では、「酒類製造業者」や、他の「酒類小売業者」に対する酒類の販売は、行うことはできませんので、注意が必要です。

酒類販売管理者について

この他、酒類小売業免許を受けようとする事業者は、「販売場」ごとに、「酒類販売管理者」を選任する必要があります。

一人の管酒類販売理者が、複数の「販売場」の管理者になることは出来ません。

この酒類販売管理者になるには、研修実施団体が実施する「酒類販売管理研修」を受ける必要があります。

この研修を受講したことを証する「酒類販売管理者研修受講証」は、販売場の見やすい場所に掲示する必要があり、併せて、管轄税務署の方へ「酒類販売管理者選任届」を提出する必要がありますので、早いめに、受講を済ませておくことが大切です。

酒類小売業免許の申請書類一覧(例)

1.酒類販売業免許申請書

2.販売業免許申請書 次葉1「販売場の敷地の状況」

3.販売業免許申請書 次葉2「建物等の配置図(建物の構造を示す図面)」

4.販売業免許申請書 次葉3「事業の概要(販売設備状況書)」

5.販売業免許申請書 次葉4「収支の見込み(兼事業の概要付表)」

6.販売業免許申請書 次葉5「所要資金の額及び調達方法」

7.販売業免許申請書 次葉6「『酒類の販売管理の方法』に関する取組計画書」

8.一般(通信販売)酒類小売業免許申請書チェック表

9.酒類販売業免許の免許要件誓約書

10.登録免許税の領収証書提出書

11.複数申請等一覧表

12.酒類販売管理者選任届出書

13.通信販売の対象となる酒類である旨の証明書(「課税移出証明書」※輸入酒類は不要。)

酒類小売業免許でも、決して簡単ではありません。

この「酒類小売業免許」は、「酒類卸売業免許」に比べると、取得しやすいと言われておりますが、それでも、”お酒”と”税金”の両方が絡むビジネスという性格上、非常に細かなルールが定められており、なかなか一筋縄ではいかないのが実情です。

一例を挙げると、まだ、申請の段階に於いてであっても、事業計画を具体的に、かつ客観的に疎明できるような資料作りが求められます。

具体的には、申請書の「収支の見込み」項で、仕入価格、販売価格、販売見込数量などのデータを落とし込んで、収支見積として、その採算性を示すこととなります。

少し込み入った話になりますと、「通信販売」酒類小売業免許の取得を希望し、かつ「国産酒」を取り扱おうとする場合には、品目”ごと”に、「課税移出数量証明書」と呼ばれる書類の添付も求めらます。この書類の収集についても、申請に際してのネックとなっているようです。

以上、上記に挙げたような例は、ほんの一例に過ぎません。

恐縮ではございますが、申請者様が、単独で、免許の取得を行うには、想像する以上に、様々な壁が立ちはだかってくる、と言っても過言ではありません。

結局のところ、『とりあえず、酒類免許でも取っておこうか…。』程度の”気持ち”や”プラン”では、なかなか免許は交付されない、と考えておいた方が良いのかも知れません。

最後に

当事務所では、「酒類販売業免許」、とりわけ「酒類小売業免許」(「一般」と「通信販売」)の取得に関するサポートを承っております。

この免許については、いかせん、管轄官庁が、税務署ということもあり、なかなか、ご本人だけで相談に行かれたとしても、”懇切・丁寧に”教えてくれることは少なく、たとえば、事業・損益計画に具体性がないといった場合などには、実に、”冷ややかな対応”をされるケースもあるようです。

昨今、注目を浴びているこの免許の取得を検討される際には、どうぞお気軽に当事務所まで、お問い合わせ下さいませ。

酒類販売業免許の区分と分類

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